トレードとメンタル

メンタルとトレードの関係は非常に密接です。

トレーダーが良いトレードを行い、利益を積み重ねるには、メンタル面での強さや安定性が非常に重要です。

このページでは、トレーダーがメンタルを乱しやすい場面とその理由を科学的な知見から解説します。自分の中で何が起きているのか、なぜいつも同じ失敗を繰り返してしまうのかを理解するために活用して貰えれば幸いです。

 

 トレーダーにとってメンタルが重要な場面

トレーダーにとって、特にメンタルが重要となる場面には以下のような場面が挙げられます。

  • 損失を被ったとき
  • 大きな利益を得たときや連勝中
  • 不確実性の高い相場
  • 長時間のトレード

それぞれの場面において、なぜメンタルが重要なのかを科学的な知見から解説します。

 

損失を被ったとき

トレードで損失を被ることは避けられません。しかし稼ぎたいと思っているトレーダーにとって損失は後退を意味するように思えてしまうことがあります。

「コツコツ積み重ねてきたのに、また減らしてしまった・・・」

損失を被るたびに、このような感情を抱くことはありませんか?

この感情が次のトレードに大きく影響してしまいます。

感情的になり、取り返しのつかない大きな損失を被ってしまうことがないよう、メンタル面を強化することが必要です。

損失を被ったときのあなたのメンタルは次のような状態になっています。

 

損失によるストレス

損失を被ったことにより、トレーダーはストレスを感じることがあります。このストレスは、メンタル面に負荷をかけ、判断力を鈍らせる原因となります。

 

勝ち負けの感情

トレードに勝ち負けはつきものですが、損失を被るとトレーダーは失敗したと感じ、自信を失うことがあります。

 

 負の思考パターン

トレーダーが損失を被った場合、負の思考パターンに陥りやすくなります。例えば、自分が悪いトレードをしてしまったと考えたり、トレードの能力に疑問を持ったりすることがあります。

これらの理由により、トレーダーは損失によってメンタルが乱れやすくなります。損失に対処するためには、メンタル面を強化することが必要であり、損失を冷静に受け止め、学びとして成長することが重要です。

 

 大きな利益を得たときや連勝中

 

大きな利益を得ることはトレーダーにとって大変な喜びですが、その喜びに浸りすぎて次のトレードで失敗してしまうことがあります。メンタルの動きを理解して、感情的にならず、冷静に取り組むことが重要です。

大きな利益を得たときにメンタルを崩してしまう理由は、神経科学的な観点から見ると、報酬系が活性化することにより、ドーパミンの放出が増加し、これが報酬による快感を引き起こすためと考えられます。

報酬系は人間が自然な行動を繰り返す動機づけの中心となる脳内の神経回路であり、ドーパミンは、報酬に対する期待値の高まりや、報酬を得た際の快感を調節する神経伝達物質です。

大きな利益を得た際には報酬系が活性化し、ドーパミンの放出が増加します。これにより、トレーダーは報酬による快感を体感して興奮状態に陥り、判断力を失います。

またドーパミンは、報酬に対する期待値の高まりを調節することも知られていて、大きな利益を得た場合、トレーダーは次のトレードでも同じような利益を得られると期待する傾向があります。

しかし相場は不確実であり、利益を得ることが保証されているわけではありません。この期待値の高まりが、過剰なリスクを取る原因となることがあります。

以上のように大きな利益を得た際には、報酬系が活性化し、ドーパミンの放出が増加するため、興奮状態に陥りやすくなります。トレーダーは感情的になり、冷静な判断をすることが難しくなるのです。

ただし、ドーパミンが悪者かというと必ずしもそうではありません。

ヒトが健康でいるためには、ドーパミンの分泌は欠かせません。

ドーパミンの好影響については、下の記事で解説していますのでそちらも御覧ください。

脳科学からみたトレードの勝ち方

 

ドーパミンの過剰な放出を防ぐには

 

ドーパミンは、楽しいことをするときや報酬をもらったときに放出される神経伝達物質で、普段の生活でも大事な役割を果たしています。例えば運動したり、音楽を聴いたり、美味しいものを食べたりすると、ドーパミンが放出されることが分かっています。加えて、人と話したり、スマホを使ったりするのも、ドーパミンの放出を促進することが報告されています。

ただドーパミンが過剰に放出されると、精神疾患や中毒症状の原因になるため注意が必要です。極端な例ですが、覚せい剤やコカインなどの薬物は脳内のドーパミン放出を増やして、快感をもたらします。脳は快感が忘れられず、中毒状態になります。

トレードによる利益を大きな喜びと感じていると、同じようにドーパミンが過剰に放出され中毒状態となり、いわゆるポジポジ病になったり、慢心や過信したトレードをしたりという破滅的な行動に直結するでしょう。

 

 不確実性の高い相場

 

誰もが、「わからない」と思いながらも仕掛けて負け、調子を崩した経験があるはずです。私たちはなぜわからないと感じているにも関わらず、トレードしてしまうのでしょうか。

 

 過剰自信のバイアス

 

不確実性の高い相場で過度なリスクを取ってしまう理由は、人間の認知バイアスの1つである「過剰自信のバイアス」によるものと考えられます。

過剰自信のバイアスとは、自分自身の能力や判断力を過大評価し、成功する確率を高く見積もりすぎる傾向のことです。このバイアスは、自己肯定感の強い人や成功体験を積み重ねてきた人に多く見られます。

さらに過剰自信のバイアスは、報酬系の活性化にも関係しています。つまり「わからない」と感じているにもかかわらず仕掛けたトレードで一度成功を経験すると、過剰自信のバイアスが強まり、過度なリスクを取りやすくなるということです。

以上のように、過剰自信のバイアスにより、トレーダーは自分の判断力や技術を過大評価し、成功する確率を高く見積もります。また、報酬系の活性化により、過剰自信のバイアスが強まり、過度なリスクを取りやすくなるため、不確実性の高い相場で過度なリスクを取ってしまうのです。

不適切なトレード戦略が身についてしまう理由には、側坐核の機能を理解しておくことも重要です。

以下の記事で解説していますので、誤ったトレード戦略を修正するのに苦労している方は一度、確認しておくことをおすすめします。

脳科学からみたトレードの勝ち方

 

 長時間のトレード

トレード時間は人それぞれですが、最も相場が動く時間帯だけでも21時~深夜1時ごろですから、約4時間です。

ある程度仕掛ける場面を絞っていたとしても、大きなストレスに晒されていることに変わりはありません。このような状態を長時間続けることによって、集中力が削がれることは言うまでもないでしょう。

ここではトレードが長時間に及ぶ際に、取り入れたい工夫をご紹介します。

 

適度な休憩をとる

 

長時間のトレード中には、15〜30分の適度な休憩をとることが重要です。休憩中には、トレードに集中することを避け、リラックスしたり、ストレッチしたり、水分を補給するなど、気分転換に役立つことを行いましょう。

 

目を休める

 

長時間の画面操作により、目が疲れやすくなるため、15〜30分ごとに目を休めることが重要です。目を休めるためには、目を閉じたり、目の前のものから視線を外したりすることが有効です。

 

運動を取り入れる

 

長時間の座りっぱなしのトレードでは、筋肉が硬直してしまうことがあります。トレードの合間には、ストレッチや軽い運動を行うことで、筋肉の緊張を解きほぐすことができます。

 

食事や睡眠に気をつける

 

トレード中には、適切な栄養を摂取し、十分な睡眠をとることが重要です。特に、長時間のトレードであれば、疲れやすくなるため、睡眠時間を確保することが必要です。

 

まとめ

トレードにおいては、相場の流れを読み取り、判断力を持って的確な取引を行うことが求められますが、トレーダーのメンタル状態も大きな影響を与えます。

メンタルが不安定な状態では、過度なリスクを取ったり、勝率が低下したりすることは避けられないと自覚しておくべきです。

逆にメンタルを整えることで、トレードの成果を上げることもできます。本記事で紹介したメンタルトレーニングや意識すべきことを取り入れ、トレードで成功を収めましょう。

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