脳科学からみたトレードの勝ち方

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テクニカル分析を勉強し、多くの経験をしてもなお、トレードで利益を積み重ねることは難しいと感じているトレーダーはー多いのではないでしょうか。

あとは何を身につければ良いのか途方にくれている人もいるかも知れません。

トレードにおいてはテクニカル分析や経済情報だけではなく、脳の働きが勝敗に大きく影響していると言われています。そこで今回は、脳科学の観点からトレーダーが勝つために必要な脳の働きについて考えていきたいと思います。

 

「脳のリワード系とトレードの関係」- ドーパミンの分泌量をコントロールする方法

ドーパミン

多くのトレーダーが直面する問題のひとつに、順調なトレードが突如崩れ多額の資金を失ってしまう失敗を繰り返してしまうということが挙げられます。このような状況に陥ってしまう原因のひとつに、脳のリワード系が関わっているとされています。

リワード系とは脳内にある報酬系のことで、ドーパミンという神経伝達物質の分泌が起こることで活性化されます。

 

トレードにおけるドーパミンの良い影響

ドーパミン

ドーパミンは報酬系神経伝達物質として知られ、トレードにおいては利益を得た時に放出されます。これにより、トレーダーは喜びや充足感を感じることができ、次のトレードに積極的に取り組むことができます。また、ドーパミンは学習や記憶にも関与しており、トレードで成功した経験が脳に刻まれ、次のトレードに役立てられることもあります。

 

トレードにおけるドーパミンの悪い影響

しかし、ドーパミンの過剰な放出は悪影響をもたらすことがあります。トレードでの大きな損失や失敗によりストレスや不安が生じ、これがドーパミンの過剰な放出を引き起こすことがあります。この状態は、トレードの冷静な判断力を損ない、感情的なトレードの誘引となるのです。

また、ドーパミンの過剰な放出が長期的に続くと、トレーダーのストレスレベルが上昇し、健康に悪影響を及ぼすこともあります。

 

プロトレーダーがやっているドーパミンの過剰放出を避けるための工夫

 

プロトレーダーは、トレードに集中するためのリラックステクニックや、メンタルトレーニング、正しい食事や睡眠、リフレッシュの方法など、様々なアプローチを用いてドーパミンの過剰放出を避け、トレードに臨んでいます。

適切な集中状態を維持するには、ある程度の緊張感や興奮が必要ですが、過度な緊張やストレスは集中力を損なう可能性があります。一方、リラックスしすぎても、注意散漫になり、集中力が欠けることがあります。

トレードにとって適度な集中状態を維持するために、例えば、トレード前には呼吸法やストレッチなどでリラックスし、トレード中には集中力を保つためのルーティンやマインドフルネスを実践することで、適切なバランスを保つことができます。

 

トレーダーが取り入れるべきマインドフルネス

マインドフルネスは、今現在起こっていることやその瞬間に完全に集中することです。

集中力を高めることができ、ストレスの軽減にも役立ちます。

トレーディングにおけるマインドフルネスは、トレードに関するすべての情報に注意を向けることを意味します。すなわちトレードに関するあらゆる情報を把握し、判断力を高められている状態です。

マインドフルネスを実践するためには、自分自身が今現在どのような状態にあるかを認識することが大切です。自分自身の呼吸、身体の感覚、周りの環境などに意識を向け、今現在の状態を受け入れることが必要です。このような状態でトレードに臨むことで、より冷静かつ客観的な判断ができるようになります。

 

「前頭前野とトレードの関係」- 判断力とリスク管理のために前頭前野を刺激する方法

前章で述べたように、トレードにおいては感情や欲望が判断力を曇らせ、リスク管理ができなくなってしまうことがあります。そのため、トレードにおいては常に冷静な判断力が必要不可欠です。

 

 前頭前野とは何か?

判断力を司る部位は、前頭前野と呼ばれる部分です。前頭前野は人間の意思決定において非常に重要な役割を果たしており、物事を理性的に考え、正しい判断をするための重要な部位とされています。つまり、前頭前野が正常に機能している状態であれば、冷静で合理的な判断ができるということです。

では、前頭前野を刺激することで、トレードにおいてより冷静な判断ができるようになるのでしょうか?

 

 前頭前野がトレードに与える影響

前頭前野

実際に、前頭前野を刺激することで判断力を向上させることができるという研究があります。例えば、ノルウェーの科学者たちは、前頭前野を刺激することで、被験者の判断力が向上することを実証しました。彼らは被験者に、前頭前野を刺激する特殊な装置をつけ、トレーディングゲームを行わせました。その結果、前頭前野を刺激しないグループよりも、前頭前野を刺激したグループの方がリターンが高かったという結果が出たのです。

また、前頭前野を刺激することによって、トレードにおけるリスク管理能力が向上するとも言われています。リスク管理能力が向上することで、トレードにおいて損失を最小限に抑えることができるようになります。

 

 前頭前野を刺激する方法

瞑想

前頭前野を刺激するための方法には、瞑想や深呼吸、ストレッチなどがあります。これらの方法を実践することで、前頭前野が活性化され、判断力を向上させることができるとされています。トレードの前やトレード中にこれらの方法を行うことで、冷静な判断をすることができるようになるでしょう。

しかし、効果には個人差があります。効果が現れる人もいれば、全く効果がない人もいるかもしれません。

例えば、瞑想を行う場合でも、効果を感じられる人がいる一方で、逆に落ち着かなくなってしまう人もいます。

 

 それだけで勝てるわけはない

 

前頭前野を刺激する方法は、あくまで判断力やリスク管理能力を向上させるための補助的な方法であり、トレードの成功を保証するものではありません。トレードにおいては、市場の変動や情報の正確性など、多くの要素が影響を与えます。

個人差やトレードに影響を与える多くの要素を考慮しながら、自分に合った方法で前頭前野を刺激し、トレードに臨むことが重要です。

 

 

「扁桃体とトレードの関係」- 不安や恐怖からくるトレードの失敗を避ける方法

トレードにおいては、不安や恐怖からくるトレードの失敗を避けることが重要です。不安や恐怖が高まると、判断力やリスク管理能力が低下してしまうためです。

不安や恐怖を感じる脳の部位は、扁桃体といいます。扁桃体は、脳内の情動を処理する部位であり、不安や恐怖に反応することで知られています。つまり、扁桃体が活発に働いている状態であれば、不安や恐怖を感じやすく、判断力やリスク管理能力が低下してしまうということになります。

 

扁桃体の働きを抑制することはトレードに効果的か

 

では、扁桃体を抑制することで、不安や恐怖からくるトレードの失敗を避けることができるのでしょうか?

実際に、扁桃体を抑制することで、トレードにおける判断力やリスク管理能力が向上することが示唆されています。例えば、米国の研究チームが行った研究では、扁桃体を抑制する薬剤を投与することで、トレーダーたちのトレードの精度が向上したという報告があります。また、マインドフルネス瞑想の実践によって扁桃体の活動を抑制できるという研究結果もあります。

 

扁桃体の活動を抑制しトレードの不安や恐怖から逃れる方法

 

具体的には、以下のような方法が扁桃体を抑制するのに効果的であるとされています。

  1. 瞑想:マインドフルネス瞑想を行うことで、扁桃体の活動を抑制することができます。
  2. 深呼吸:深呼吸をすることで、交感神経が抑制され、扁桃体の活動が抑制されます。
  3. 運動:運動によって、脳内のエンドルフィンが分泌され、扁桃体の活動が抑制されるとされています。
  4. 認知行動療法:認知行動療法を受けることで、不安や恐怖に対する対処法を学び、扁桃体の活動を抑制することができます。
  5. 睡眠:十分な睡眠をとることで、扁桃体の活動が抑制されるとされています。
  6. 栄養バランスのとれた食事:ビタミンBやマグネシウムなど、栄養素のバランスをとった食事を摂ることで、扁桃体の活動が抑制されるとされています。

ただし、扁桃体を完全に抑制することはできないため、トレードにおいては完全にリスクを回避することはできないことも覚えておきましょう。

 

「自己効力感とトレードの関係」- 自信を持ってトレードするために必要な自己効力感の養成方法

自己効力感

自己効力感とは、自分自身が何かを成し遂げると信じる力のことです。トレードにおいては、自己効力感が高い人ほど、自信を持ってトレードすることができ、成功確率が高くなります。では、自己効力感を高める方法とは何でしょうか?以下に示す3つの方法を詳しく見ていきましょう。

 

成功体験を積み上げる

 

自己効力感を高める最も重要な方法は、成功体験を積み上げることです。トレードにおいては、小さな勝ちを積み重ねることで、自己効力感を高めることができます。小さな勝ちが積み重なることで、自信を持ってトレードすることができ、結果として大きな利益を得ることができると信じましょう。

 

失敗を前向きに捉える

 

トレードにおいては、必ず失敗を経験します。失敗を前向きに捉えるのか、自分を責めて終わるのかは大きな違いです。失敗を反省し、次回に生かすことで、トレードのスキルや判断力が向上するからです。

 

目標設定をする

 

自己効力感を高めるためには目標設定し、目標を達成するために、どのような行動をとればよいのかを考えましょう。目標よりもむしろ行動を考えることに意味があります。自分がトレードに取り組む意味、理由を持つことは、良い習慣を身につける手助けになります。

また、大きな目標につながる小さな目標をいくつも設定してください。スタンプラリーのように、小さな成功体験を積み重ねることがとても大切です。

自己効力感を高めるには時間がかかることもあるかもしれませんが、焦らずにコツコツと取り組みましょう。成功体験を積み上げ、失敗を前向きに捉え、目標を設定し、モチベーションを高めることで、トレードにおいて自己効力感を高め、成功を収めることができるようになるでしょう。

 

「側坐核とトレードの関係」- 側坐核が引き起こすトレード中の興奮状態の抑制方法

 

側坐核とは、脳の中心部に存在する構造の一つで、自律神経系を調節する重要な役割を持っています。近年の研究により、トレーダーの脳がトレード中に興奮状態になると、側坐核が活性化されることが明らかになっています。このような興奮状態が続くことで、トレーダーは判断力を失い、冷静さを欠くことがあります。そこで、ここでは側坐核が引き起こすトレード中の興奮状態の抑制方法について解説します。

 

トレード中の興奮状態と側坐核の活性化

側坐核

トレード中の興奮状態と側坐核の活性化について、詳しく見ていきましょう。

トレード中には、プラスの興奮やマイナスの興奮が生じます。プラスの興奮は、トレードで大きな利益を得た時や、トレードの成果を自分自身で認めた時などに発生します。一方、マイナスの興奮は、トレードで大きな損失を被った時や、損失を取り戻そうとして更に損失を拡大してしまった時などに発生します。

こうした興奮状態が続くことで、トレーダーの脳内にある側坐核が活性化され、トレーダーは冷静さを失い、判断力が鈍ってしまいます。これが、トレードでの失敗を引き起こす一つの原因となっています。

トレード中に側坐核の活性を抑えリラックスする方法

トレード中の興奮状態を抑えるためには、リラックスすることが重要です。

瞑想や運動

具体的には、深呼吸や瞑想などの方法が有効です。深呼吸は、脳内のストレスを軽減し、心拍数を落ち着かせる効果があります。瞑想は、心を静め、深いリラックス状態に導きます。これらの方法を使って、トレード中に興奮状態になった時は、一度立ち止まり、深呼吸や瞑想をして心を静めることで、側坐核の活性化を抑えることができます。

また、身体活動もトレード中の興奮状態を抑制するのに役立ちます。運動やウォーキングなどの身体活動は、脳内のストレスホルモンを減少させ、リラックス効果をもたらします。さらに血液循環を促進するため、脳に酸素や栄養素を供給し、脳機能を改善する効果もあります。

トレード中には、長時間座りっぱなしになることが多いため、身体活動を取り入れることで、側坐核が活性化されるのを防ぎ、冷静な判断ができる状態を維持することができます。

トレードプランの策定

トレード中の興奮状態を抑えるためには、トレードプランの策定が欠かせません。トレードプランとは、トレードを行う前にあらかじめ決めておく、エントリーやエグジットのタイミング、利益目標や損失限度額などのルールのことです。

トレードプランを策定することで、トレード中に迷いや不安を感じることが減ります。また、ルールに従うことで、感情に振り回されることなく、冷静な判断ができるようになります。これにより、側坐核の活性化を抑え、より効率的なトレードを行うことができます。

トレード中の休憩

トレード中には、一定の時間をおいて休憩を取ることも大切です。長時間のトレードや、連続してトレードを行うことで、トレーダーは疲れやストレスを感じることがあります。

トレード中には、定期的に休憩を取り、体を休めましょう。休憩中には、深呼吸やストレッチなどの方法を使って、リラックスすることが大切です。

トレードの記録

最後に、トレードの記録をとることも、側坐核の活性化を抑えるために役立ちます。トレードの記録をとることで、自分のトレードの傾向やパターンを把握することができます。また、トレードの結果を客観的に分析することができるため、冷静なトレード判断につながります。

 

まとめ

 

トレードで勝つためには、分析や判断力だけでなく、脳の働きをコントロールすることが重要です。ドーパミンの分泌量をコントロールすることで、過剰なリスク許容を避けたり、前頭前野を刺激することで判断力を高めたり、扁桃体を抑えることで不安や恐怖からくるトレードの失敗を避けたり、自己効力感を養成することで自信を持ってトレードすることができます。また、側坐核が引き起こすトレード中の興奮状態に注意することも大切です。

総じて瞑想や運動、睡眠、食事、トレードルールが大切ということになります。

当たり前のように感じられるかもしれません。

でも、やっていますか?

バカにしているうちは、なにも変わらないかもしれません。

 

 

参考文献
「Dopamine Modulates Risk-Taking as a Function of Baseline Sensation-Seeking Trait」「Dopamine Modulates Approach-Avoidance Thresholds in Humans」

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