トレードの失敗と向き合う~マインドフルネスがトレーダーを救う~

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はじめに

 

FXトレーダーにとって、失敗や損失との向き合い方はその後のトレード実績を左右します。

失敗も損失もトレーダーにとっては受け入れがたいものであり、向き合うには辛い気持ちがあるかもしれません。

また「自分は大丈夫」「内省できている」という認識は正常化バイアスが働いている可能性があります。

今回は、トレードの失敗や自身の内面と向き合うために、マインドフルネスの重要性について書きたいと思います。

 

トレードとメンタルの関係性

 

トレードの成功にはメンタル面の成長が欠かせません。実際にトレードをしている人なら、負けた時のストレスや勝った時の興奮などによって、自分自身が感情的に大きく揺れ動くことを体感しているでしょう。

感情や心理的な要素をコントロールし、トレード結果の改善を目指すメンタルトレードという考え方があります。自分自身の感情や心理状態を理解し、トレードの判断や行動に反映させるのです。

トレードに失敗はつきものですが、トレードの失敗原因は外的要因だけでなく、内的要因にもあると言われています。つまり、自分自身の心理状態や感情がトレードの結果に影響を与えることがあるということです。

自分の失敗原因を探る方法としては、自己分析やトレード日誌のつけ方があります。自分がどんな状態でトレードしているのか、どんな感情が起こっているのかを振り返り、自分自身の心理状態について理解することが重要です。

マインドフルネスの基礎知識

トレードとメンタルの関係が説明されたところで、次にマインドフルネスの基礎知識について説明します。

マインドフルネスとは何か

マインドフルネスとは、簡単に言うと「今この瞬間を全身全霊で感じること」です。現在に集中し、過去や未来のことに思いを馳せたり、何かにとらわれてしまわないようにすることが大切です。マインドフルネスは、瞑想や呼吸法などの練習を通じて、集中力やストレス耐性を高め、自己認識や心の平穏を促進することができます。

マインドフルネスの基本的な練習方法

マインドフルネスの練習にはいくつか種類がありますが、基本的な練習方法を以下に紹介します。

  • 呼吸法:深くゆっくりと呼吸をすることで、心身のリラックス効果が期待できます。
  • 瞑想:目を閉じて、呼吸に集中することで、心を落ち着かせることができます。
  • 身体感覚瞑想:自分の身体を感じながら、リラックスすることで、集中力を高めることができます。

マインドフルネスがトレードにどのような影響を与えるか

マインドフルネスは、トレードにおいても非常に有効です。トレードの世界では、多くの情報が飛び交い、ストレスやプレッシャーがつきまとうため、集中力を保つことが非常に難しいです。

しかし、マインドフルネスの練習をすることで、集中力やストレス耐性が向上し、冷静かつ客観的に判断することができるようになります。

また、マインドフルネスは、トレードにおける感情コントロールにも役立ちます。感情が高ぶり、冷静な判断ができなくなることがあるかもしれませんが、マインドフルネスを練習することで、感情に振り回されず、冷静な判断をすることができるようになるのです。

トレーダーにありがちなメンタルの失敗

トレードには、根拠に基づいた意思決定が必要ですが、多くのトレーダーは自分自身の思考パターンによって誤った判断をしてしまいます。以下では、トレーダーにありがちなメンタルの失敗について詳しく見ていきます。

思考パターンによるトレード失敗の原因

人間は認知バイアスと呼ばれる思考の傾向があるため、自分自身の経験や感情に左右された判断をしてしまいがちです。

例えば、過去に利益を得た銘柄や手法に執着してしまったり、大きな損失を被ったことによってリスク回避的な思考に陥ってしまうことがあります。これらの思考パターンはトレードの判断において歪みを生じ、失敗の原因となることがあります。

 ネガティブな感情に支配されることによる失敗の原因

トレードには、多大なリスクが伴うため、不安や恐れといったネガティブな感情に襲われることがあります。これらの感情に支配されることによって、トレードの判断が歪められ、結果的に損失を招いてしまうことがあります。また、トレードの失敗によって、自分自身を責めたり、自信を喪失してしまうこともあります。

認知バイアスがもたらす失敗


認知バイアスとは、人々が物事を認識し、評価し、判断するときに、主観的な視点に基づいて判断する傾向がある心理的な傾向のことを指します。自分自身の経験や信念に基づいて物事を評価するため、客観的な情報に基づく判断が歪められてしまいます。

トレーダーとして覚えておくべき認知バイアスとしては、一度儲けた銘柄に対して偏った見方をする「リコールバイアス」や、トレーダー自身が持っている情報を優先して評価し、他の情報を無視してしまう「確証バイアス」、自分だけは大丈夫という「正常化バイアス」などが挙げられるでしょう。

これらの認知バイアスに陥ってしまうことで、トレーダーは本来ならばとるべきではない取引を行い、損失を出してしまうことがあります。また、認知バイアスに陥っていることに自覚を持ちづらいため、自己分析や相場分析が適切にできず、改善が非常に難しい傾向があるのです。

こういった認知バイアスに陥ることを防ぐためには、客観的な情報を取り入れることや、自分自身の信念や経験を客観的に見直すこと、自分の認知的なズレや感情の動きに気づくことがとても重要です。

こういった内的な失敗の対策として、マインドフルネスが有効です。

マインドフルネスの瞑想を行うことで、客観的な視点を持ちやすくなることが期待できます。

マインドフルネスを取り入れるためのヒント

 マインドフルネスを実践する上での障壁とその対処法

マインドフルネスを実践することは、簡単なようで実際には難しいことが多いです。特にトレードでの実践においては、ストレスや感情の起伏により、マインドフルネスを続けることが難しい場合があります。ここからは、マインドフルネスを続ける上での障壁とその対処法について説明します。

 時間不足によるマインドフルネスの実践が難しい場合

マインドフルネスは日常生活の中で簡単に実践することができます。トレードにおいても、トレード前に5分間呼吸法を行う、取引の合間に深呼吸をするなど、少しずつでも実践することが重要です。

しっかりと時間をとって、場所を確保して完璧な実践を目指さず、まずは少しだけやってみるという意識で始めてみましょう。

いろいろな思考が駆け巡ってしまう

マインドフルネスの実践中に頭がいっぱいになってしまい、続けることができないこともあるでしょう。それはそれでいいのです。いろいろな考えが駆け巡っている状態に気づき、受け入れるトレーニングだと考えてください。

いろいろな考えが駆け巡っている場合は、それを受け入れた上で深呼吸をし、呼吸に意識を向けてみましょう。

自分の思考や感情に気づき呼吸に意識を向ける習慣は、トレード中に非常に役に立ちます。

損失を被ったときの焦りや不安、悔しさ、いらだち、大きな利益を得たときの興奮や慢心、過信、優越感など様々な感情に気づきその場で対処できるようになります。

 マインドフルネスが苦手と感じる場合

マインドフルネスが苦手と感じる場合は、自分に合った方法を見つけて実践するようにしましょう。例えば、音楽を聴きながらマインドフルネスをする、自然の風景を眺める、散歩をしながら実践するなど、自分に合った方法で実践することが大切です。

また、少し宗教的な感じがするとかスピリチュアルなイメージを持っているという方もいらっしゃるかもしれません。

それは大きな間違いです。

マインドフルネスは自分の思考や感情に気づき、適切に受け入れるためのトレーニングです。呼吸に意識を向け呼吸をコントロールすることで、感情が落ち着くことは脳科学的にも明らかになっています。

 トレードにおけるマインドフルネスの実践方法

まずは以下の中からできそうなものをピックアップして少しだけ始めてみましょう。

またマインドフルネスにおける第一人者をご紹介しますので、気になる方は書籍など検索してみてください。

  • トレード前に瞑想を行う。
  • 呼吸に注意を集中させることで、自分が感じる心身の反応に気づく。
  • 感情や思考を客観的に観察し、その状態を受け止める。
  • トレード中、呼吸に意識を向けながら、自分が感じる不安や緊張を受け止める。
  • ポジションを持つ前に、自分が感じる不安や緊張の原因を客観的に考え、自分が最も適切だと思う行動を決める。
  • トレード中、途中経過に過剰に反応せず、呼吸に注意を向けながら冷静に判断する。
  • トレード後、自分が持っていた感情や思考について振り返り、次に活かせるようにする。

マインドフルネス関連著名人

  • ジョン・カバット=ジン(Jon Kabat-Zinn)
    アメリカの医師であり、マインドフルネス・ベースド・ストレス・リダクション(MBSR)プログラムを創設したことで知られています。著書に『フルキャスト・マインド』などがあります。
  • シャロン・サルズバーグ(Sharon Salzberg)
    アメリカのヨガ指導者、著作家であり、マインドフルネス瞑想の第一人者の一人です。著書に『リアル・ハピネス』などがあります。
  • ジョン・テッズ(John Teasdale)
    イギリスの臨床心理学者であり、認知療法とマインドフルネスを組み合わせたMBCT(マインドフルネス・ベースド・コグニティブ・セラピー)を開発したことで知られています。著書に『マインドフルネス・ベースド・コグニティブ・セラピー(MBCT)』などがあります。
  • タラ・ブラック(Tara Brach)
    アメリカの心理療法士であり、仏教の教えとマインドフルネスを融合した独自のアプローチで知られています。著書に『ラジカル・アクセプタンス』などがあります。
  • ジャック・コーンフィールド(Jack Kornfield)
    アメリカの仏教指導者、心理療法士であり、マインドフルネスを広めることで知られています。著書に『マインドフルネスを学ぶ』などがあります。

まとめ

本記事では、トレードの失敗原因がメンタル面にあることを説明し、マインドフルネスがトレードに与える影響について紹介しました。

マインドフルネスを取り入れることで、トレーダーは感情に振り回されずに冷静な判断ができるようになり、トレードの成功率が上がるという効果があります。

しかし、マインドフルネスを実践する上での障壁も存在します。トレーダー自身がどのような方法が自分に合うかを見つけ、実践することが重要です。

【参考文献】

Kabat-Zinn, J. (1990). Full Catastrophe Living: Using the Wisdom of Your Body and Mind to Face Stress, Pain, and Illness. Delta.
Langer, E. J. (1989). Mindfulness. Addison-Wesley.
Tharp, V. (1990). Trade Your Way to Financial Freedom. McGraw-Hill.

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