この記事では、これからFXを始めようとしている初心者の方やFXをやってきたけどなかなか勝てず勉強し直そうとしている中級者の方向けに、FXの仕組みについて詳しく解説します。
初歩的なFX取引や価格変動の仕組み、取引時間、為替市場規模、FX初心者に推奨される「一日5,000円」のお小遣い稼ぎで失敗する理由などをお伝えします。
広範囲に渡る内容になりますので、目次から読みたいところに飛んで下さい。
FXとは
FXとは、Foreign Exchange(外国為替証拠金取引)の略称で、世界各国の通貨を売買することによって為替差益を狙う取引です。
カンタンにいえば、世界の通貨の中から価格が上がりそうな通貨を選んで、安く買って高く売れば利益になります。
世界の通貨は為替市場というマーケットで、だれでも売買できます。
私たち一般投資家が世界の通貨をカンタンに売買する仕組みを提供しているのが、FX会社です。
FXの魅力とリスク
FX市場(外国為替市場)は、世界中の人々が参加するとても大きな市場です。
そのため平日24時間取引が可能で、日本が祝日でも世界が動いていれば取引できます。
またレバレッジという仕組みを利用することで、少額でも取引できるので、裕福な資産家でなくともFX市場に参加し大金を稼ぐ可能性が生まれます。
一方で、多くの人や企業、時には国もFX市場に参加しているため値動きは非常に大きく、レバレッジの使い方や取引方法を適切に学ばなければいけません。
百戦錬磨の猛者が集まるFX市場に丸腰で参戦して、無事に戻ってこれるはずがないのです。
FXで取引される通貨ペアとは
FXでは世界の通貨をペアにした「通貨ペア」を売買します。
ニュースなどでよく聞くドル円は、アメリカのドルと日本円の通貨ペアです。
FXでよく取引される通貨ペアを以下に挙げます。
カッコ内のアルファベット表記は取引時によく使われるので、間違えないように覚えておきましょう。
米ドルを表す際は、「米ドル」と書くこともあれば単純に「ドル」とすることもあります。
どちらでも通じますし、FXの勝敗に関係しませんので、こだわらないようにしましょう。
また他にもトルコリラ(TRY)やメキシコペソ(MXN)、南アフリカランド(ZAR)といった高金利通貨も一部のトレーダーから人気があります。
通貨ペアの取り扱い種類はFX会社によって異なりますが、上記リストで挙げた通貨ペアを取引できないFX会社はほぼありません。
FX取引で通貨ペアを売買する
通貨ペアを売買するとは、ある通貨を買ってもう一方の通貨を売ることです。
たとえば米ドル円(USD/JPY)を買うといった場合、米ドルを買って日本円を売ることになります。
FXで利益になる仕組み
FX取引で利益を出すためにやるべきことは単純で、通貨を安いときに買って高いときに売ることです。
たとえば米ドル円の価格が上がると考えたら、米ドル円を買います。
もし想定通りに米ドル円の価格が上がれば、つまり、米ドルが日本円に対して高くなれば、買ったときよりも高い価格で米ドルを売ることができるため、利益になります。
下の画像はドル円の値動きを表すFXチャートで、1ドル134円のときに買って、1ドル137円のときに売ってますから、3円の利益となります。
3円しか儲からない・・・と落ち込まないでください。
自己資金が少額でも、レバレッジをかけて100万円分の取引ができたりします。
すると、ドル円3円分の値動きで3万円の利益が生まれたりします。
また、あとで説明しますが、「レバレッジは危ない」というのは、「自動車は危ない」とか「包丁は危ない」というのとほぼ同じです。
FXのレバレッジは使い方次第で、強い味方にもなるし恐ろしい敵にもなります。
FXで損をする仕組み
先程の例とは逆に、通貨ペアを高いときに買って安いときに売れば損になります。
たとえば米ドルの価格が上がると考えて、米ドル円を買ったあとに、米ドル円(USD/JPY)相場が下がってしまった場合は、買った時よりも安い価格で米ドルを売ることになるため、損をします。
この例のような取引をすると、7円の損です。
FXで7円の損はとても大きいので、こんな損をしないように気をつけましょう。
FX(為替)通貨ペアの価格変動の仕組み
FX取引において、通貨ペアの価格変動は、基本的には相対的な通貨価値の変化によって決まります。
たとえば米ドル円(USD/JPY)なら、「1ドル130円」のように、1ドルあたりの日本円の価格を表します。
FXでは「米ドル円の価格が上昇」というように通貨ペアの価格が上昇したり下落したりするような表現をされますが、実際には「米ドルの価格が上昇」というように、通貨の価格変動として表現する方が正しいです。
ただ、FXでそんな細かいことを気にする必要はありません。意味を汲み取れればOKです。
この価格は、市場における需給のバランスによって決まることもあれば、投機対象として取引され大きく値が動くこともあります。
たとえば需給で価格が決まるとき、需要が高まると通貨の価格は上昇し、供給が増えると価格は下落するというのが定説です。
価格変動は、経済指標の発表や政治情勢の変化、自然災害など様々な要因によって影響を受けます。
これらの要因によって市場の需要や供給が変化するため、通貨ペアの価格も変動するというわけです。
この価格変動を予測して取引し、お金を稼ごうというのがFXです。
過去の相場データを分析することで、トレンドや相場の特性をつかもうとするのがテクニカル分析。
経済指標などの情報を把握することで、市場の動向を予測しようとするのがファンダメンタル分析です。
需給をみてFXで稼げるなら苦労はしません。
また経済指標による影響にも一律の答えはありません。
少しずつ学んでいきましょう。
FXの市場規模と取引時間
FXの市場規模について理解をしておくことはトレードスタイルの決定に大きく影響します。
時間帯によって、値動きの活発さが異なるからです。
なぜFXは取引する時間帯によって値動きが異なるのか、何時に取引をすると良いのか、解説していきます。
FXの市場規模とFX(外国為替)市場の仕組み
2022年の日本の個人によるFX(外国為替証拠金)の取引額は前年比2倍の1京2074兆円です。
これは株式市場の規模を遥かに上回ります。
FX市場(外国為替市場)といっても、通貨を売買する市場(いちば)が実在するわけではありません。
インターネットでつながっているから世界中どこにいてもみんなが取引できる状態にあるということです。
またFX市場は世界中の様々な国の通貨を取り扱い、世界中の人々が参加し、あらゆる思惑で売買されています。
だからこそ流動性が高くいつでも取引できるというメリットがある一方で、FXの値動きは非常に早く大きく、初心者にはリスク、危険性が高いと言われているのです。
FXの取引可能時間と値動きが活発になる時間帯
FXは世界中で取引が行われているので、基本的に24時間取引可能です。
ただ値動きが活発な時間帯とそうでない時間帯がありますので、覚えておきましょう。
FXにおいて主要な市場はニューヨーク(ウォール街)、ロンドン(シティ)、東京です。
経済ニュースなどでは、東京市場とかロンドン市場といった表現をされますが、現地の人たちが活発印活動している時間帯を東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場と呼んでいるだけです。
それぞれの市場がオープンしている時間帯を、東京時間、ロンドン時間、ニューヨーク時間などといい、値動きが活発になります。
FXの東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場の取引時間
各市場のオープンとクローズの時間帯は、覚えておきましょう。
また日本にはない夏時間(サマータイム)制度によって、季節でオープン時間が異なります。
夏時間(サマータイム)が採用される期間は、毎年3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までです。
各主要市場のオープンが重なる時間帯は取引量が最も多く、値動きが非常に活発です。
中でも、ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間帯は最も取引が活発になり、値動きがとても大きくなります。
週末は土曜日の午前6時または7時頃まで取引できるFX会社が多いです。
ただ週末のクローズ間際はほとんど取引が行われないため値動きがなく、スプレッドというコストが大きくなる時間帯なので、取引しないことをおすすめします。
FX通貨ペアの価格表示(レート)の見方、読み方、スプレッド、pipsってなに?
FX通貨ペアの価格の読み方は慣れるまで戸惑うかもしれません。
特に日本円がかかわらない通貨ペア(ユーロ米ドルなど)は、ほとんどの人にとって馴染みのないものでしょう。
FX通貨ペアのレート
FX通貨ペアの価格表示は、「レート」と呼ばれる数字で表されます。
例えば、米ドル円(USD/JPY)のレートが135.000であれば、1ドルが135円で売買されていることになります。
ユーロ米ドル(EUR/USD)のレートは1.20000のような表記です。
この場合、1ユーロ=1.2ドルで売買されていることになります。
なおFX会社によって、レート表示の桁数が異なり、5桁表示の場合があるので、かならず確認しておきましょう。
FX取引のスプレッドとは
FXのスプレッドとは売値(Bid)と買値(Ask)の差額のことであり、トレーダーにとっては取引コストです。
下の画像を見てください。
これはMT4という世界的に有名な取引ツールの米ドル円の発注パネルです。
発注パネルにはドル円のレートが2つ記されています。
左側の数字が「売値」、右側の数字が「買値」です。
このレートだと、売値が136.097、買値が136.102で、このレートは常に変動します。
売値と買値の差額がスプレッドと呼ばれ、トレーダーにとっての取引コスト、FX会社にとっての収益源です。
また、FXでは価格の変動量を「pips」という単位で表します。pipsとはPercentage in Pointの略で、レートの変動値幅を表します。
例えば、ユーロ米ドル(EUR/USD)が1.20000から1.20050に上昇した場合、上昇したpips数は5pipsです。
また米ドル円(USD/JPY)が135.520から135.580に変動した場合、6pipsの上昇ということになります。
FXで初心者が一日5,000円稼ごうとすると失敗する
FXの基本的なブログやサイト、FX会社の公式ページには、「初心者は一日5,000円稼ぐことを目指そう」とか「一日5,000円お小遣い稼ぎ」みたいな初心者向けの謳い文句が並びます。
はっきり言ってFX初心者にそれは無理です。
FXの最大の難しさは、安定して継続的に利益を得続けるところにあります。
金額の大きさではありません。
「一日5,000円の利益」を得るためには、今日も明日もあさっても勝ち続けなければいけません。FXではこれが一番難しいんです。
安定して一日5,000円稼げるようになったら、それはもうすでに大成功していると言っても過言ではありません。
金額が小さければ簡単だと思ったら大間違いですし、そう思わせるような書籍やネット記事からは距離を置くことをおすすめします。
FXでは取引するロット数が大きくなれば損益額は勝手に増えます。
取引するロット数を大きくしたければ、それなりの金額を入金すれば良いだけです。
ただ、安定して勝つことができないのに大きな資金を入れれば、残念ながら近い将来入金した全額を失うことになります。
FX初心者は必ずデモ口座の取引から始めてください。
取引の方法や値動きを確認して、取引ツールの操作の仕方や発注の方法に慣れたら、リアル口座に少額入金して取引を開始しましょう。