この記事では、FX初心者の方向けにFXのスプレッドについて詳しく解説します。
FXのスプレッドとは?という基本的な知識から、取引コストを抑えて少しでも利益を残すために知っておきたいスプレッドの考え方、固定スプレッドと変動スプレッドの違いやスプレッドが広がる理由など幅広い内容です。
これからFXを始める方は、国内FXの策略にハマってスプレッド信仰に陥らないように気をつけてください。
FXのスプレッドとは
FX通貨ペアには売値(Bid)と買値(Ask)という2つのレートがあり、その差がスプレッドです。
FXのスプレッドはトレーダーにとって取引コストであり、FX会社にとっては手数料収入と同等の意味をもちます。
またスプレッドにより、トレードは常にマイナススタートになることも覚えておきましょう。
FXのスプレッドの求め方や計算式をカンタンに解説
FXのスプレッドは、カンタンに求められます。
下の画像はMT4という取引ツールの発注パネルで、米ドル円(USD/JPY)のレートが表示されています。
スプレッドは売値と買値の差ですから、【買値 ー 売値】で求められます。
上の画像の場合、スプレッドは【136.102-136.097=0.005】つまり0.5pipsです。
FXのスプレッドによるコスト計算表 1pipsいくら?
たとえばスプレッドが0.5pipsなら、日本円にするといくらのコストになるのでしょうか。
スプレッドによるコストはスプレッドの広さと取引量で計算します。クロス円通貨ペアのスプレッドコストは下の表を参考にしてください。
クロス円通貨ペア | 0.1pips | 1pips | 10pips |
1,000通貨 | 0.1円 | 10円 | 100円 |
1万通貨 | 10円 | 100円 | 1,000円 |
10万通貨 | 100円 | 1,000円 | 1万円 |
米ドル円(USD/JPY)のスプレッドが0.5pipsで、1万通貨の取引をする場合、50円のコストが掛かることになります。
ドルストレート通貨ペアのスプレッドコストは、米ドル円(USD/JPY)レートによって変化します。
上の表に米ドル円(USD/JPY)レートをかけ合わせてください。たとえば1ドル130円の場合、以下のようになります。
ドルストレート通貨ペア | 0.1pips | 1pips | 10pips |
1,000通貨 | 0.13円 | 13円 | 130円 |
1万通貨 | 13円 | 130円 | 1,300円 |
10万通貨 | 130円 | 1,300円 | 1万3,000円 |
原則固定スプレッドと変動スプレッド
スプレッドには原則固定スプレッドと変動スプレッドがあり、FX会社によってどちらのスプレッドを採用しているかが異なります。
海外FXでは変動スプレッドを採用している会社が多く、国内FXでは原則固定スプレッドを採用している会社が多いです。
- 原則固定スプレッド:国内FXに多い
- 変動スプレッド:海外FXに多い
それぞれのスプレッドの特徴を把握しておきましょう。
原則固定スプレッドの特徴
原則固定スプレッドは基本的にスプレッドが変動せず、固定されています。
ただし経済指標の発表や取引が極端に少ない朝方、クリスマスなどで休場が多い日はスプレッドが変動しますので、取引タイミングには十分に気をつけましょう。
変動スプレッドの特徴
変動スプレッドは、常にスプレッドが変動しています。
海外FXのスプレッドは国内FXに比べて広いと言われがちですが、変動スプレッドは、FX会社やタイミング、通貨ペアによって0pipsを記録することもありますので、一概に海外FXの方がスプレッドが広いとはいえません。
また経済指標や取引が極端に少ないタイミングでスプレッドが拡大しやすいのは、変動スプレッドも同じです。
スプレッドが広がる理由とコストを抑えるための対策
スプレッドが広がるのは、FX取引の仕組み上自然なことです。
むしろスプレッドが広がらない方が、何か特別な操作を疑わざるを得ません。
流動性
FX取引では、流動性が高い状態だとスプレッドが狭くなり、流動性が高いとスプレッドが広がります。
流動性は市場、FX会社、通貨ペア、時間帯によって異なるため、スプレッドを狭くしてコストを抑えるのであれば、これらの変動要因を精査しましょう。
コモディティよりも通貨ペア、ポンド円(GBP/JPY)よりも米ドル円(USD/JPY)、オセアニア時間よりもロンドン、NY時間の方が、スプレッドは狭くなります。
スプレッドが広がりやすい時間帯
スプレッドが最も広がりやすい時間帯は、日本時間の明け方6時から7時ころです。
この時間帯は、ニューヨーク市場がクローズしてオセアニア市場がオープンしている時間帯なのですが、次の主要な市場である東京市場のオープンまで少し時間があり、取引量が減少します。
また明け方6時から7時ころにメンテナンスタイムを設けているFX会社も多く、スプレッドが拡大することが多いので、新規注文、決済注文ともに気をつけましょう。
FX会社の手数料
スプレッドにはFX会社の取引手数料が上乗せされているケースがあります。
設定されているスプレッドのうち、どれくらいのスプレッドが上乗せされているかは公表されていません。
国内FXのスプレッドが狭いのは、スプレッドを狭くして顧客を集め、約定のスリップで手数料と同等の利益を得るためです。
一方、海外FXはNDD方式のインターバンク直結取引なので、約定をわざと滑らせて利益を得るようなコントロールができません。
そのため、最初からスプレッドを広く設定したり取引手数料を設定したりすることで利益を得ています。
透明性が高いのは明らかに海外FXです。
トレーダーは、スプレッドだけではなく約定力を合わせて考えましょう。
FX会社のリスクヘッジ
最もスプレッドが広がるのは、重要な経済指標の発表時です。
このときは原則固定スプレッドの米ドル円(USD/JPY)のスプレッドも数十pipsに広がります。
重要な経済指標の発表時には、あらゆる市場参加者がさまざまな思惑を持って注文を繰り返しますが、このときFX会社は、顧客注文をさばくうえでのリスクを抑えるためにカバー取引を行ったりスプレッドを広げたりしてヘッジしています。
つまり、FX会社が健全に運営されていくためのコストとして、スプレッドが広がるタイミングがあるということです。
取引スタイルにもよりますが、指標トレードはおすすめしません。
指標発表時は不確定要素が多すぎるうえに、スプレッドが広がりコストがかさみます。
スキャルパーとデイトレーダーは、指標発表時は静観しましょう。
FX初心者のためのスプレッド基礎知識 まとめ
今回はFXのスプレッドについて、詳しく解説しました。
- スプレッドは買値(Ask)と売値(Bid)の差
- スプレッドと約定力を合わせてコスト
- スプレッドを抑えるなら流動性のある市場や通貨ペア
- 透明性が高いのは海外FX
スプレッドは一度の取引で考えると小さなコストですが、積み重ねることで非常に大きなコストになります。
またスプレッドによって取引は常にマイナススタートですので、その額が大きいことはトレーダーにとってストレスです。
FXをやるなら、狭いスプレッドと高い約定力を備えた海外FXをうまく利用しましょう。